研究課題/領域番号 |
12440083
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00192526)
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研究分担者 |
松田 康弘 岡山大学, 理学部(平成14年4月物理性研究所・助手より異動), 助教授 (10292757)
三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949)
大道 英二 東京大学, 物性研究所, 助手 (00323634)
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キーワード | 超強磁場 / 低次元電子系 / 電子相転移 / 2次元電子系 / 磁場誘導起密度波相 |
研究概要 |
最終年度である本年度は、これまでの2年間で開発した高周波伝導測定システム、絶縁体製小型クライオスタットを用いて、縦型一巻きコイル法超強磁場発生装置により発生した100T級パルス超強磁場、さらには電磁濃縮法超強磁場発生装置により発生した500T級パルス超強磁場の下で、半金属グラファイト、半金属ビスマス、電荷密度波物質NbSe_3、低次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4、GaAs/AlGaAs半導体ヘテロ接合界面の2次元電子系について高周波磁気伝導測定を実行し、超強磁場極限における電子状態や伝導現象について調べた。グラファイトでは63TでShubnikov-de Haas(SdH)振動を観測したが、その後110Tまでは振動が存在しないことを確認した。これは強磁場準量子極限状態で電子軌道径が平均電子間隔より小さくなり電子相関効果が顕著になった結果、電子構造が影響を受け、SdH振動の位置が大幅に変化したことを示唆する。一方ビスマスにおいても、弱磁場のバンド計算から88Tで起こると予想された半金属半導体転移が存在しないことを見出したが、これも電子相関効果による電子構造の変調を示唆する結果である。NbSe_3では100T以上の量子極限領域で磁気抵抗の穏やかな減少を発見したが、これは電子(準粒子)がCDWギャップを磁気貫通して1次元軸に沿った蛇行軌道運動が復活したことによると考えられる。2次元電子系については、インピーダンスを小さくするよう設計した特殊形状のコルビノ型試料を作製して測定を行い、1/3分数量子Hall効果を80Tという超強磁場で観測した。これは今後2次元電子系の強磁場極限電子相を研究する上で、本研究で構築した高周波システムがそのツールとして極めて有効であることを示すものである。
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