研究概要 |
1.貴金属とハロゲン及びカルコゲンの3元化合物である超イオン導電体Ag_3SI系のp-d混成の強さを調べるために,LCAO近似のバンド計算を行い,p-d混成の強度関係を調べた.Ag_3SIのp-d混成の強さはAg_3SBrのそれより小さいことを見いだし,Ag_3SIのイオン伝導に関する活性化エネルギーがAg_3SBrのそれより小さいことと深く関連していることを示した. 2.二酸化チタンのナノ粒子に対する焼結過程を分子動力学法を用いたシミュレーションを実行し,得られるナノフェーズ相における内部構造や空間電荷分布と基本の結晶相との関係を理論的に調べた. 3.PCをベースにした並列計算機を使ったセラミックナノ結晶のTight-binding分子動力学法を開発研究した. 4.並列計算システムの導入 (1)システムの導入(2000年11月-12月):22台のPC(2CPU)を配備し,米国ルイジアナ州立大学の菊池英明研究員の支援の元に新潟大学の研究グループへ並列計算機システムの配備と可動チェックを行った. (2)研究会(2000年12月,新潟大学):研究組織の海外共同研究者である米国ルイジアナ州立大学並列材料計算研究所の中野愛一郎準教授に新潟大学に来て貰って並列材料計算についての研究会をもった.中野氏の特別講演の内容は分子動力学法の基礎,並列分子動力学法,分子動力学法の可視化,モンテカルロ法について行われ,特に並列分子動力学法については接続したPCクラスターの並列計算機システムを使用しながら計算演習も試みられた. (3)研究会(2001年2月,新潟大学):共同研究者の鶴田健二氏(岡山大学工学部)に新潟大学に来て貰って「タイトバインディング分子動力学法の基礎と最近の発展について」を講演して貰った.簡便なバンド計算法の一つであるタイトバインディング法の基礎と最近の発展(高精度化,高効率化),および分子動力学法や並列計算技法との組み合わせによる大規模な材料科学計算の例について学び並列計算手法の準備を整えた.
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