研究概要 |
・α一AgIのIイオンの作る4面体と拡散イオンのAgイオンとの動的な相関を分子動力学法の計算機シミュレーションを用いて調べた.Agの移動に伴い,4面体は収縮と膨張を繰り返し,局所的にエネルギーの歪みが生じ,そのエネルギーがAgの拡散運動を促している.またフッ化物超イオン導電体の人工層状系をつくり,計算機シミュレーションにより動的特性について調べた.層の厚み依存性は実験の傾向に合うとともに,界面近傍と物質内部とで可動イオンの微視的挙動の違いをとらえている. ・相補的な結晶構造をもつYb_4As_3(anti-Th_3P_4型構造)ならびにSm_3Te_4(Th_3P_4型構造)化合物における電荷秩序構造をクーロンエネルギーの観点から調べた.モンテカルロシミュレーションに基づく解析の結果,電荷秩序特性は結晶構造に鋭敏であり,Yb_4As_3が明確な電荷秩序転移を示すのに対し,Sm_3Te_4では温度を下げると連続的にガラス的状態が実現する.これらの定性的結果は実験事実と符合する. ・高温・高圧下でのSiCやTiO_2のナノ微粒子間のネック形成・焼結のシミュレーションを実施,その結果を中性子散乱実験データと比較し,粒界イオン拡散の温度依存性について,その微視的なメカニズムを解明した.また,微粒子間粒界での電子移動度のTB計算も行い,セラミックス対応粒界において電子移動度が増大する可能性を示した.さらに,ナノ微粒子がそれぞれの結晶方位を自己組織形成的に揃え合う現象を見い出した. ・2001年10月上旬1週間,家富が引率した新潟大学大学院生数名は膨大な並列計算機群を有する米国ルイジアナ州立大学のVashishta教授らの研究グループを訪問し,研究交流を行なった. ・2002年1月25日に小林らは第29回固体イオニクス研究会「材料から見たリチウム二次電池」を新潟大学で開催した.
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