我々はプルシアンブルー類似体を多元金属化することでフェロ磁性とフェリ磁性が理想的に混合したフェローフェリ混合磁性や光磁極反転、2重補償点材料などといった新規概念および磁気特性を提案し合成に成功している。本研究では、光誘起磁極反転の光可逆化を実現するため、Cu^<II>_2[Mo^<IV>(CN)_8]・7.6H_2O(試料1)に注目した。試料1は可視光照射により磁化が誘起されることを見出している。そこで試料1が混合原子価錯体である点に着目し、二種類の波長の光照射により常磁性-強磁性間を可逆性について検討した。 試料1は照射前の状態では常磁性であるが、温度5K、外部磁場10Gで480nmのレーザー光を照射したところ磁化が増大し、Tcが28Kの強磁性を示すようになった。これは、光照射によりCu^<II>(S=1/2)←Mo^<IV>(S=0)の電子移動が起こり、Cu^ICu^<II>[Mo^V(CN)_8]が光照射により生成していると考えられる。すなわちCu^<II>(S=1/2)と光誘起されたMo^V(S=1/2)の間で超交換相互作用が働き強磁性を発現したことによる。一方、強磁性状態のサンプルに600nmのレーザー光を照射したところ磁化の減少が観測された。1は混合原子価錯体であり、この光反応の励起状態はCu^I→Mo^Vへの逆電子移動反応の励起状態にもなっていることに起因すると考えられる。このような照射光の波長変化による磁化の増減は、繰り返し行っても再現された。可視光可逆化に成功した。
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