研究課題/領域番号 |
12440100
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 治彦 金沢大学, 理学部, 教授 (50004370)
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研究分担者 |
樋渡 保秋 金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)
阿部 聡 金沢大学, 理学部, 講師 (60251914)
松本 宏一 金沢大学, 理学部, 助教授 (10219496)
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キーワード | 核磁性 / NMR / 緩和時間 / 量子ゆらぎ / 濃縮Pt |
研究概要 |
Pt金属の核スピン・オーダーを実現しその核磁性と電子との相互作用、特に電子のゆらぎの効果を調べることを目的とし、実験を開始した。 97.5%に濃縮した^<195>Pt金属の直径0.5mmのwire試料をアメリカOak Ridge National labolatoryから得た。不純物の分析によると、主にFe不純物だが2.3ppmと非常に少なく、超低温実験に充分使える試料であることが分かった。 試料は線材化したときの歪みが残っているため抵抗比(RRR)は20であった。これが熱処理によって約40になった。 NMR測定によりスピン-格子緩和時間T_1とスピン-スピン緩和時間T_2の測定を行った。比較のため同じ形状の自然に存在するPtについてもNMR測定を行った。その結果T_1については同じ値,これまで報告されているものと同じ値が濃縮試料および天然Pt試料の両方で得られた。しかし,T_2は濃縮試料の方が半分の短さであった。これは核スピン間の距離が短くなったため核スピン-核スピン間の相互作用が強くなったものとして理解できる。ところがT_2の磁場依存性が両方の試料で観測されている。これは磁場の不均一さから来るものと理解できるがその磁場依存性に4倍の違いがある。即ち濃縮試料の方が4倍磁場依存性が大きい。これは現在のところ理解できない。 このようにこの研究は世界で始めて濃縮PtのNMRの測定を行い大変重要な知見を得ている。これは単にPt試料に付いてではなく濃縮核スピン系の本質を明らかにする研究と言える。 一方大型核断熱消磁冷却装置の準備もほぼ終了したので次年度は超低温での実験が開始される。
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