この研究課題は、重い電子系物質で顕著にみられる、圧力によって誘起される種々の磁気的量子現象を中性子散乱の手法で研究しようとするものである。そのために、いくつかのタイプの高圧装置を開発製作することが必要になる。これまで、次の二つのタイプの高圧セルの製作を試み、一つは実用に、もう一つはテスト段階に到達している。 1.希釈冷凍機組込用小型セル He3/He4希釈冷凍機に組み込んで、mK低温領域で使用するための直径約10mmの小型圧力セルを試作し、15kbarまでの弾性散乱実験に用いて、いくつかの物質系で成果を得た。 2.非クランプ型高圧クライオスタット」 従来の高圧下での中性子散乱実験に用いられている、クランプ型高圧セルを改良して、クライオスタットの中に圧力セルを入れたまま外部からの操作によって圧力をコントロール出来る装置について、クライオスタット、熱アンカー用冷凍機の導入を終了し、他の主な部分の製作も終了して、現在組み立て、一部テストを実行中である。今年度内に装置を完成させる予定。
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