研究概要 |
1.高圧実験装置の開発 低温高圧下でのX線磁気円二色性(XMCD)実験のために,冷凍機にダイヤモンド・アンビル高圧セルを組み込んだ装置を設計製作した.テスト実験を経て,装置の操作性と振動に対する安定性を向上させる改良を施した. 2.放射光を用いたテスト実験 実験手法を確立するために,常温高圧でFe_4N,純Fe,純NiのK-吸収端に関するXMCDのテスト実験をSPring-8 BL39XUにて行い,高圧下XMCD測定の実際を経験した.更に,キュリー温度が比較的高く大きな磁気体積効果が期待できるラーベス相DyCo_2を選び,低温高圧下でのXMCD測定のテストを実施した.その結果,100Kで0.4Tの条件のもとで最高5GPaまでの加圧下でXMCDスペクトルの測定に成功した.発生圧力のその場測定の方法としてNaC1の円偏光X線90度散乱を採用し,その適応性を評価した. 3.Mn_3GaCのGa K-吸収端の高圧下XMCD実験 室温で常磁性状態にあるMn_3GaCに高圧を印加すると,強磁性への磁気相転移が誘起させる.この強磁性状態を確認するために,高圧下でGa K-吸収端のXMCD実験を行った.その結果,室温でも5GPa以上の高圧を印加するとGa原子が磁気的に分極する事を見出した.系統的な実験は今後の課題である. 4.研究成果の発表 高圧下XMCD実験の手法について,Fe_4NにおけるFe K-吸収端の結果をNucl. Instrum. Methods誌に発表した.
|