研究課題/領域番号 |
12440104
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐藤 英行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80106608)
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研究分担者 |
菅原 仁 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (60264587)
青木 勇二 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (20231772)
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キーワード | 充填スクッテルダイト / 一軸性圧力効果 / de Haas-van Alphen効果 / 電子輸送効果 / 熱電材料 / 近藤効果 / Shubnikov-de Haas振動 / 四重端子相互作用 |
研究概要 |
1.純良単結晶育成:条件を系統的に調べ結晶育成を行いREFe_4P_<12>、RERu_4Sb_<12>、REOs_4Sb_<12>系に集中して、の大型単結晶の育成を進めた。 2.本年度の顕著な結果 (1)PrFe_4P_<12>:本年度は、特にこの物質の近藤効果と6.5Kでの相転移の起源が興味を集め、多くの共同研究者との協力の下研究が進められた(超音波吸収測定、中性子非弾性散乱、光電子分光、NMR、メスバウアー分光、等)。低温の非磁性秩序相での質量増強効果がキーポイントと判断して、ド・ハースーファン・アルフェン(dHvA)効果による有効質量と電子比熱係数の磁場依存性を詳細に測定するとにより、質量増強及び秩序パラメーターが四重極相互作用である可能性を明らかにした。また、共同実験の結果と相俟って、これまでのf電子化合物と比較して、この物質の異常性が更に際立たせる結果となった。 (2)PrOs_4Sb_<12>:残念ながら、重い電子超伝導の発表は僅かに米国グループに先んじられてしまったが、関連してこの物質系の本質に関わると思われる臨界磁場以上に現れる新たな秩序相を、磁場中比熱と磁場中輸送効果測定により見出し、超伝導相との総合相図を明らかにした。 (3)CeRu_4P_<12>:dHvA効果により決定された大きな質量を持つ小さなフェルミ面(キャリヤー数の少ない半金族)と、異常なホール係数の温度依存性(を他のREとの比較)に基づき、フェルミ面の顕著な温度変化の可能性を提示した。これは、f電子との温度に敏感に依存する混成効果によるとして解釈される。また、開発した、一軸圧力セルを用いて、電子輸送効果の効果の圧力依存性を測定し、低温の非フェルミ液体的振る舞いが急激に抑制されることを明らかにした。更に、磁気抵抗に現れるShubnikov-de Haas振動を、磁場と一軸圧力が平行と垂直の両配置で測定し、0.65kbarの低圧にもかかわらず、極値断面積に明白な異方性が生じることを示した。これ等は、充填スクッテルダイト係に共通するc-f混成効果の特異性を示す重要な事実である。
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