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2003 年度 実績報告書

フラストレートした超伝導セラミクス系の秩序構造と揺らぎ

研究課題

研究課題/領域番号 12440107
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

萩原 亮  京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70198654)

研究分担者 松浦 基浩  福井工業大学, 工学部, 教授 (80025361)
キーワードYBa_2Cu_4O_8 / セラミック超伝導体 / サイトレイト・パイロリシス法 / 相転移 / 非線型磁化率 / 臨海現象 / 弱接合
研究概要

本研究は、グレイン間にπ型とo型の両種の弱接合が形成され、相互作用のネットワークにフラストレーションが生じると期待されるセラミクス超伝導体が示す秩序化の特性を、実験的に調べることを目的に行なわれた。この実験のためには、結晶内の欠陥が少ない高温超伝導化合物について、微小のグレインが弱くつながった特殊な焼結体を試料とすることが要求される。そこでまず、サイトレイト・パイロリシス法で得た前駆体を低温焼成してYBa_2Cu_4O_8セラミクスを合成する手法が研究され、再現性を向上させる改良が行なわれた。この新しい合成技術を用いて、775℃の温度での焼結時間を加減することで、YBa_2Cu_4O_8の純度を保ちつつ接合の強度だけを系統的に変化させた試料系が得られた。
焼結時間を6段階に変えた試料系について、交流法による線型・非線型磁気応答を調べたところ、いずれの試料についても、グレイン間秩序化の効果として、YBa_2Cu_4O_8結晶のT_c(80K)よりも十分低温側で強いシールディング磁化が現われ、またその臨界温度領域で応答波形の顕著な歪みが生じることが確認された。これらの3倍高調波磁化の温度変化は、比較的短時間焼結の試料では、臨界点における発散的ピークと低温側の符号反転を伴う異常を示すが、焼結時間を長くしていくと、高温側のピークが高温側に移動し先鋭化する一方、低温側の異常は相対的に消失することが判明した。200h焼結の試料について、高次高調波磁化の級数で磁場に対する3次項係数である非線型磁化率を求めると、高温側の急峻な負発散だけが現れ、その特異点位置が測定振幅条件等によらず一つの臨界点を示すことが明らかになった。これらの事実より、高温側から負発散に向かう非線型磁化率はグレイン間秩序化に伴う熱平衡量の臨界現象であり、d波超伝導セラミクスのグレイン間秩序化の本質的な臨界現象であることが解明された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] M.Hagiwara: "Synthesis and Magnetic Characterization of Superconductive YBa_2Cu_4O_8 Ceramics of Weakly Coupled Nano-scale Grains"Ceramic Engineering and Science Proceedings, American Ceramic Society. Vol.24,Issue3. 63-68 (2003)

  • [文献書誌] M.Hagiwara: "Ambient pressure synthesis of YBa_2Cu_4O_8 using citrate pyrolysis method"Physica C. Vol.392-396. 66-70 (2003)

  • [文献書誌] M.Hagiwara: "Linear and nonlinear magnetic responces of weakly sintered YBa_2Cu_4O_8 ceramics of sub-micron scale grains"Physica C. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] T.Yamao: "Structural and magnetic characterization of super fine grain ceramics of YBa_2Cu_4O_8 systhesized by citrate pyrolysis method"Physica C. (印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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