研究課題/領域番号 |
12440112
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー・理工学研究所, 助教授 (50281639)
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研究分担者 |
松尾 由賀利 理化学研究所, 先任研究員 (50231593)
作花 哲夫 京都大学, エネルギー・理工学研究所, 助教授 (10196206)
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キーワード | 自動電離準位 / 非線形光学 / 群速度 / レーザーアブレーション / レーザー誘起蛍光 |
研究概要 |
本年度は、真空紫外の非線形光学およびアブレーションについての基礎的な知見の取得に重きを置き、研究を進めた。まず、理論については、レーザー波長が自動電離準位への遷移と近共鳴にある場合について、線形・非線形光学現象のモデルによる解析を行った。より具体的には、真空紫外光が自動電離媒質を伝播する場合を想定して、群速度および群速度分散の式を導き、そして自己収束の起こる条件を擬似2準位および擬以3準位モデルを使って評価した。量子干渉効果により、共鳴周波数近辺で自動電離媒質が透明(媒質の吸収が極小)になることはよく知られているが、この光吸収の極小点では、光の群速度は真空中のそれよりも遅くなるということ、そして、群速度の値は、自動電離スペクトルの形状や自動電離幅Γ自身には依存せず、Γと自動電離のバックグラウンドとして存在する滑らかな連続状態へのイオン化断面積σの比Γ/σに正比例するということがわかった。自己収束については、個々の自動電離準位によって、正にもなり負にもなりうるということがわかった。これらの結果は、束縛準位系での振るまいとは全く異なるものである。 実験については、レーザーアブレーション法により生成された高融点金属イオンの挙動を調べるために、内部状態・並進状態の時間変化を詳細に測定した。Siウェハー基板を酸素ガス雰囲気中でレーザーアブレーションすることにより合成されたSiO^+分子イオンに対して、5-400μsの時間遅れの後、プローブレーザーを照射してレーザー誘起蛍光を観測する。このとき、プローブレーザーとして、バンド幅が0.0001nm以下の狭帯域cw光パルス増幅光源を用いて、ドップラーシフトを測定したところ、放出されたSiO^-分子イオンはアブレーション後、数十μsまでは基板から垂直に直進性よく飛び出し、その後は熱拡散していくことが明らかになった。
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