研究課題/領域番号 |
12440114
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 助教授 (60201612)
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研究分担者 |
小田島 仁司 富山大学, 理学部, 助教授 (50233557)
梶田 雅棯 通信総合研究所, 標準計測部, 主任研究官 (50359030)
森脇 喜紀 富山大学, 理学部, 助教授 (90270470)
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キーワード | トラッピング / レーザーアブレーション / シュタルク効果 / 分子衝突 |
研究概要 |
1.レーザーアブレーションによる分子の生成と空間捕捉 我々は最終的に、分子の空間捕捉の手段として、次のようなアプローチを取ることにした。炭酸ガスレーザー光の定在波をレンズで集光し、その焦点に3次元勾配力ポテンシャルを形成する。そこに捕捉する分子は、トラップレーザーとなる炭酸ガスレーザー光の熱作用を利用して、固体試料のレーザーアブレーションによってトラップ内部で生成する。固体試料には分子性結晶であるショ糖を選んだ。ショ糖の微粉末は、ピエゾアクチュエータによってトラップ下方から打ち上げられる。打ち上げられた微粒子が炭酸ガスレーザー光にあたるとアブレーションを起こし、その生成物が四方八方に飛散する。これを上空に設置した質量分析計で観測したところ、以下のことが明らかになった。 (1)分解生成物は、1m/s程度の速さで飛行している。アブレーションの温度が数百Kと仮定すると、生成物は、数千から数万個のショ糖分子が集まったクラスターであると結論できる。 (2)レーザー光の強度を上げると、より速い生成物が増加する。これは、レーザー強度が上がるにつれて熱分解が促進され、より小さいクラスターが生成されるためと考えられる。 ショ糖クラスターや分子のうちエネルギーのごく低いものは、トラップ内部に残留している。現在、レーザーイオン化によるトラップ分子の高感度検出法を開発中であり、近々最終目標まで到達できる見込みである。 2.トラップされた極性分子のダイナミクスの理論解析 (1)徐々に半径が大きくなる特殊な形状をしたリング電極を用いることにより、トラップされた分子の接線速度を減速できることが明らかになった。 (2)トラップ内部での分子衝突過程を、エネルギーや電場強度をパラメータとして解析した。分子の並進温度が低くなるにつれて、弾性衝突断面積に対する非弾性衝突断面積の割合が増加し、トラップロスが増えることが明らかになった。
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