研究課題/領域番号 |
12440118
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浜野 洋三 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011709)
|
研究分担者 |
吉原 新 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
田近 英一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70251410)
大野 正夫 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (00251413)
|
キーワード | 磁場変動 / 気候変動 / 古地球磁場強度 / コア / 双極子磁場 / 磁場西方移動 |
研究概要 |
平成14年度は、古地球磁場強度の変動の測定を継続し、様々な時間スケールでの磁場強度変化のデータを蓄積すると共に、地磁気観測所や磁場探査衛星のデータがあり、磁場の空間分布の時間変化が追跡できる近代の磁場変動データについて、本研究課題により開発された外部起源磁場及び内部起源磁場を詳細に分離、特定する手法を用いて解析を行い、磁場変動の様相を明らかにした。過去の磁場強度変化については、最近2000年間及び20万年についての磁場強度変化に加えて、地球進化初期の太古代の磁場強度変化の測定・解析を行った。地球磁場で卓越する双極子磁場の強度は、地球進化の過程において長期的にはほぼ現在と変わらない一定の値を持つが、数1000年以下の短い時間スケールで過渡的に数分の1ないしは数倍に増加する現象があることが見つかった。磁場の過渡的な減少は磁場の逆転あるいはエクスカーション等と対応しており、それらの現象については気候変動との相関が見出されている。一方、過渡的な双極子磁場の増加については、現時点では気侯変動との相関は見出されなかった。最近の磁場変動については、主に非双極子磁場の変動が調べられたが、非双極子磁場の変動については、磁場のパターンが長期的に停滞する成分と、西方に移動する成分が知られていたが、本研究でより短周期の磁場変動の解析により、5年から20年程度の時間スケールで南北方向に移動する変動が見つかった。この変動は地球の自転速度変化と相関を持っている。一方、この時間スケールの自転速度変化は、大気、海洋と固体地球との各運動量交換が原因と考えられていることから、地球の自転を通しての気象変化、気候変動と磁場とが結びついていることが確かめられた。一方、非双極子磁場の停滞成分については、マントル最下部の電気伝導度の水平方向不均質構造によるものであることが、本研究で考えられた磁場と不均質構造との相関モデルによって確かめられた。
|