研究分担者 |
石岡 圭一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90292804)
石渡 正樹 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (90271692)
谷本 陽一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00291568)
小高 正嗣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60344462)
中島 健介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10192668)
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研究概要 |
海面水温の非一様性に起因する大気大循環の構造を水惑星実験によって抽出することを目的とし,赤道上に単一のSST異常が存在する場合のアンサンブル初期値応答実験のデータ解析及び種々のSST異常域分布を持つ場合の長時間積分を行った. 赤道上におかれた単一のSST異常に対するアンサンブル解析としては,個々の積雲対流と季節内変動によって生じるノイズの除去を行い,水蒸気収支に関する検討を行った.試行数128のアンサンブル初期値応答実験によって得られたアンサンブル平均から,同じ初期値群から出発したSSTアノマリ無しの実験のアンサンブル平均を差し引いたものをとることにより,応答の構造を抽出することができた.その結果,東側では赤道ケルビン波的な構造の東進とともに赤道への水蒸気収束が生じ降水増大域が形成されること,西側では赤道ロスビー波的な構造の西進とともにoff-equatorへの下層の発散が生じ赤道上で降水減少域が形成されることが示された.特に西側の応答(特に高気圧偏差になること)の形成機構には,通常の赤道波動の範疇では予想できなかった構造が見出され,Lamb波的な順圧応答や熱帯-中緯度間のゆっくりした質量再分配が重要な位置を占めていることが示唆された. 種々のSST異常域分布を持つ場合の長時間積分としては,1つのSST異常域を赤道から高緯度にずらした場合,赤道に2つのSST異常域を置いた場合,赤道上に正のSST異常と負のSST異常を置いた場合の実験を行った.赤道上にSST異常が存在する場合については,赤道ケルビン波的な構造と赤道ロスビー波的な構造およびそれらに伴う水蒸気収束によって降水異常のパターンが記述可能であることが示唆された.SST異常域を赤道からずらした場合では,SST異常域の中心を6度ずらしても,赤道上の降水異常は上記と同様の赤道波力学によって説明されることも示された.
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