研究分担者 |
原 圭一郎 国立極地研究所, 研究系, COE研究員
荻野 慎也 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80324937)
橋田 元 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリングセンター, 助手 (00280537)
山森 美穂 東京大学, 気候システム研究センター, 日本学術振興会特別研究員PD
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研究概要 |
1.大気重力波は,運動量の鉛直輸送を担い,大気大循環に重要な役割を果たすと考えられている.各種地上観測や人工衛星観測により,陸上や規模の大きな重力波特性は明らかになってきたものの,海洋上小規模擾乱の実態はいまだ不明である.今年度本研究では,東大海洋研の白鳳丸にてラジオゾンデを打ち上げ,太平洋中部の赤道を含む28N〜48Sの70度以上の広い緯度領域の成層圏微細構造をほぼ1度ごとに観測することに成功した.観測期間は2001年11月27日〜12月25日のほぼ1ヶ月.国際重力波プロジェクトの解析手法に合わせ,小規模擾乱の鉛直波数スペクトル,運動・位置エネルギー解析を行った.陸上の平均値と比較したところ,特に熱帯において,数倍の強度を持つことがわかった.また,重力波が北半球から南半球にかけて3000km近く伝播する様子も初めて捉えることができた.2002年3月の赤道大気とその結合過程に関する国際会議にて,この研究に関する招待講演を行った. 2.平成12年度に購入,整備したヨーロッパ中期予報センターの1979〜1993年の15年分の再解析気候データを用いて,これまで殆ど解析のなされていない南北両極の成層圏極渦周辺擾乱の解析を行った.まず,極夜ジェットの存在する緯度60度の2次元スペクトル解析を行って,周期1日以下,東西波長2000km程度にピークが見られることを確認し,この擾乱をフィルター法で取り出した.そして,ラグ相関解析,コンポジット解析などから,位相速度等の力学パラメータを推定し,擾乱が,独自の物理を持って伝播する波動であることを明らかにした.さらに,極渦との関係を調べるため,最新のラグランジュ的解析手法を用いてその分布を3次元的におさえた.擾乱は極夜ジェットの位置で大きな振幅をもっていることから,極夜ジェット付近で正の極大となるポテンシャル渦度の南北勾配に捕捉された波動であると推定された.この内容については,現在論文執筆中である.
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