研究課題/領域番号 |
12440130
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 正宜 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (70023687)
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研究分担者 |
林 啓志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, COE特別研究員
藤木 謙一 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (20303597)
徳丸 宗利 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (60273207)
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キーワード | 太陽風 / 太陽活動 / 惑星間空間シンチレーション / 計算機トモグラフィ / 電波観測 |
研究概要 |
計算機トモグラフィ法を応用したIPS観測データを用いて、以下の2つの視点から研究をおこなった。 (1)太陽活動と太陽風速度構造の関係の研究 太陽風の速度構造が、太陽活動の変化に伴って大きく変化することは、以前から知られた観測事実である。今回我々は、1985年〜1998年のIPS観測データ(太陽活動極大期は除く)を統計的に扱い、長期的な太陽風速度構造の変化を定量的に研究した。主な結果は以下の通りである。(1)極域の高速太陽風はほぼ一定であり、南北に非対称性がある。今回調べた期間では、北極域太陽風は南極域太陽風に比べて常に数10km/s速い。(2)高緯度高速風には速度に緯度勾配が存在し、太陽活動極小期にもっとも小さい値をとる。また極小期の緯度勾配は、探査機ユリシーズの観測とほぼ一致している。(3)高速太陽風と低速太陽風の割合(面積比)は太陽活動によって大きく変動するが、その中間の速度の太陽風はほぼ一定の割合である。すなわち、極小期の典型的な太陽風速度のbimodal構造(高速風/低速風)は太陽活動極大期を除いて存在することが示唆される。 (2)特定の太陽風構造と太陽コロナ磁場構造の比較研究 太陽極小期には極域のコロナホールは大きく低緯度に広がっており、そこからは高速太陽風がふきだしている。太陽活動が上昇するにつれ、コロナホールは高緯度へと縮小していき、やがて極大期には消滅する。コロナホールが縮小していくほとんどの期間で、極域太陽風の速度はほぼ一定であることは(1)で明らかになった。ところがコロナホールが消滅する直前に低速太陽風が現れる期間が存在する。我々はこの期間に現れた低速風を、光球面磁場から推定したコロナ中の磁場構造と比較することにより起源を推定した。その結果、今回見つかった低速風は、非常に小さなコロナホールから吹き出していることが判明した。我々のグループでは過去に、低緯度に現れる非常に小さな開いた磁場領域からふきだす太陽風が、低速太陽風の典型的な速度よりもさらに遅くなることを発見しており、今回見つかった極域の低速太陽風は、同じメカニズムにより生じたものであると推測される。
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