研究概要 |
最近,四国四万十興津メランジュからシュードタキライトが発見された.発見者である高知大学の坂口有人らの協力を得て発見地点での地質調査・試料採取を行った.断層はENE-WSW方向の逆断層で,北側の野々川層が南側の興津メランジュに衝上している.断層運動は高温時のものと低温時の2回あるようである.シュードタキライトは高温時(興津メランジュの最高到達温度は270℃とされている)のものである.破砕帯の中心部(fault core)には厚さ1mm程度の石英脈が発達していて,その表面には傾斜方向に明瞭な断層条線が認められる.シュードタキライトの本体はこの石英脈であると思われるが,現在は再結晶していてその組織を保存していない. 路頭での肉眼観察ではシュードタキライト層は識別できず,現在のところ我々はシュードタキライトそのものを発見できていない.この断層付近一帯の多数の薄片を作成してシュードタキライトを発見した坂口らによれば,それは注入部にのみ保存されているらしく,容易には見つからないようである.13年度も引き続き発見に努める.
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