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2001 年度 研究成果報告書概要

断層岩の性状から海溝型地震の摩擦すべりの物理過程を読みとる

研究課題

研究課題/領域番号 12440132
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 地質学
研究機関東北大学

研究代表者

大槻 憲四郎  東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004497)

研究分担者 遅沢 壮一  東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40160866)
研究期間 (年度) 2000 – 2001
キーワード台湾集集地震 / シュードタキライト / 異常孔隙圧 / elastohydrodynamic lubrication / 粉砕 / フラクタル / fluidization / normal interface vibration
研究概要

1999年台湾集集地震を起したShelungpu断層を貫く南北2本のボーリングコアを解析した結果,以下のことが判明した.
1.南部のボーリングの深度176m付近に,厚さ2mの粉砕されたシュードタキライト層が形成されていた.シュードタキライト破片を分析した結果,リサイクルした古いシュードタキライトの破片がより新しいシュードタキライト中に普遍的に含まれていること,ごく一部が1730℃を越え,溶融度が著しく高いものの,多くは溶融度が低いことが判明した.
2.北部のボーリングの深度223-227m,および283-320mにはShelungpu断層の剪断帯がある.この剪断帯の片側に接して厚さ1-3cmの軟質粘土層が,もう一方の側には厚さ数10cmから1mのモザイク状断層角レキを伴っている.注目すべきことは,後者を貫く粘土脈がほぼ普遍的に認められ,断層粘土層中の孔隙圧が瞬間的に(おそらくはcoseismicに)異常に上昇したことを示唆する.
3.1999年台湾集集地震の際には,Shelungpu断層南部では変位は大きくはないものの,高周波が放射された.これに対して北部ではすべりが高速で変位量が12mにも達したものの,高周波の放射を伴わなかった.断層岩の性質から判断すると,南部では低溶融・高粘性の溶融体の形成がすべりを抑制し,北部ではBrodsky and Kanamori (2001)のelastohydrodynamic lubricationが効果的に作動したものと理解できる.
各地の断層岩を解析し,ガウジ粉砕とfluidizationを研究し,以下の事を明らかにした.
1.粉砕は粒径分布のフラクタル次元が2.5から開始し,その後単調増加する.粒子の充填はフラクタル次元が2.5のときに最も密になるので,粉砕過程そのものがslip-weakeningメカニズムである.
2.粉砕破片対の発見確率を指標として,fluidizationの有無を判定する新しい方法を開発した.
3.Fluidizationの原因を検討した結果,Brune et al. (1993)のnormal interface vibrationが最も有力な候補であり,それが自然界で作動していることを支持する2つの証拠を発見した.
4.粉体科学の知識に基けば,ガウジがfluidizeすると,断層面の摩擦抵抗はほとんどセロになる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Otsuki, K., Monzawa, N.: "Contrasting fault rocks from two boreholes penetrating Chelung-pu Fault, Taiwan"Proceedings of ICDP Workshop on Drilling the Chelungpu Fault, Taiwan, held on Sept. 27-29 in Taipei. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Otsuki, K., Monzawa, N., Nagase, T.: "Fluidization and melting of fault gouge during seismic slip : The record in fault rocks with implications for focal earthquake mechanisms"J. Geophys. Res.. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Monzawa, N., Otsuki, K.: "Comminution and fluidization of fault gouge : Their implications to fault slip behavior"Tectonophysics. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Otsuki, K. and Monzawa N.: "Contrasting fault rocks from two boreholes penetrating Chelung-pu Fault, Taiwan."Proceedings of ICDP Workshop on Drilling the Chelungpu Fault, Taiwan, held on Sept. 27-29, 2001 in Tapei. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Otsuki, K., Monzawa, N. and Nagase, T.: "Fluidization and melting of fault gouge during seismic slip: The record in fault rocks with implications for focal earthquake mechanisms."J. Geophys. Res.. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Monzawa, N. and Otsuki, K.: "Comminution and fluidization of fault gouge: Their implications to fault slip behavior."Tectonophysics. (in press). (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2003-09-17  

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