研究概要 |
1.東北日本弧・背弧側(山形県温海東方)の前期中新世(約20Ma)の火山岩類(玄武岩及び安山岩)の岩石学的・地球化学的研究を行った.主成分元素組成の特徴は,安山岩の多くはカルクアルカリ質のものであり,一部は粗面安山岩質のものであることを示している.一方,玄武岩は島弧性のソレアイトである.安山岩のSr同位体比初生値(SrI値)は0.7045〜0.7050であるのに対して,玄武岩のそれは0.7060と高い値である.これらのSrI値は,これまで本研究代表者らによって明らかにされていた,東北日本弧背弧側の古い時代(15Ma以前)の玄武岩のSrI値の範囲内にある.このことから,玄武岩質マグマは島弧リソスフェア性マントルに由来し,安山岩はSr同位体比を異にする玄武岩質マグマの結晶分化作用で形成された可能性があることを論じた. 2.東北日本弧・背弧側(新潟県櫛形山脈周辺)の中期中新世の玄武岩及び随伴する流紋岩の岩石学的・地球化学的研究を行った.流紋岩はカルクアルカリ質のものであり,パーアルミナスな性質をもつ.玄武岩は島弧性のソレアイトである.流紋岩は0.705前後の高いSrI値をもつのに対して,玄武岩は0.704以下の低いSrI値をもつことが明らかとなった.これらの事実に基づき,流紋岩は下部地殻物質の溶融によって,玄武岩はアセノスフェリックマントルに由来することを議論した.下部地殻を溶融させた熱源は,日本海拡大に伴って上昇したと考えられるアセノスフェリックマントル及びこれに由来する玄武岩質マグマと考えられる.
|