研究分担者 |
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90324607)
山路 敦 京都大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40212287)
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
下林 典正 京都大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70235688)
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研究概要 |
岩石の変形に対する化学反応の効果については,長い間その重要性が指摘されながらも,いまだに体系的な研究がなされていない.本研究の目的は,ガス圧式高温高圧変形・透水試験機を用いて,間隙流体を媒介とした溶解・移動・化学反応・析出現象が岩石のレオロジー的性質に与える影響について実験的に調べることである.本年度は,イオンクロマトグラフ・LCRメータ・導電率計を導入して,今年度以降3年間の研究の基盤整備をおこなった.これによって,間隙水中のイオン濃度を測定できるようになり,溶解と化学反応のプロセスを,水の分析によってモニターすることが可能になった.イオンクロマトグラフをLCRメータ・導電率計と組み合わせることによって,イオン濃度と水溶液の導電率の関係を調べることができる.高温高圧下における変形試験中に岩石中の間隙水を分析用に回収することは非常に難しいので,水溶液中のイオン濃度を,圧力容器内で測定しやすい導電率から推定することを試みたい.電極を載荷ピストン中に埋め込むことが次年度の課題である. 本年度の研究成果としては,化学反応速度を規定する重要な因子である透水係数(N_2 gas permeability)の測定を,根尾谷断層・神縄断層・中央構造線・野島断層・柳ヶ瀬断層などでおこない,各断層帯の透水性構造を学会で報告した(測定は間隙圧振動法による).また,透水係数の測定を断層岩から岩石中の破断面に拡張し,破断面の開口幅(aperture)は有効圧が増加するほど,また表面がなめらかになるほど顕著に減少することが判明した.さらに,足柄層群の地表サンプルを用いて有効圧サイクル試験をおこない,堆積岩の地下深部における透水係数と間隙率を推定する方法を考案した.次年度は,透水係数の測定に加えて,水中のイオン拡散係数の測定を試みたい.
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