研究課題/領域番号 |
12440137
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田上 高広 京都大学, 理学研究科, 助教授 (80202159)
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研究分担者 |
山田 隆二 防災科学技術研究所, 固体地球研究部門, 研究員
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キーワード | フィッション・トラック / 熱年代学 / 地震断層 / シュードタキライト / ジルコン / 領家帯 / 野島断層 / 平林トレンチ |
研究概要 |
本年度は、以下に述べる3つの研究を行うことができた。 (1)地費調査所(GSJ)ボーリングコアについて、ジルコンのトラック長分布と年代データの検討を行った。その結果、トラックの短縮と年代値の変動はよく対応しており、2次的な加熱によりトラックが短縮しみかけ年代が若返ったことが明確になった。また、断層中軸帯において加熱は最も強烈であり、年代の若返りも大きいことが確認された。さらに、平均年代と平均トラック長のプロットから、2次的な加熱の時期はおよそ40Maであることも推定できた。また、加熱帯の幅が約20mにおよぶことから、岩石の変形/変貿データも参照すると、この再加熱は熱水活動によることが強く示唆される。これらの成果を取りまとめ、Geophysical Research Letters誌に投稿し掲載された。 (2)室内での水熱アニーリング実験の結果を検討し、ジルコンFT系は熱水条件下でもドライ1気圧と同じAnnealing kineticsを持つことが明らかになった。また、そのトラック形状についての高精度画像解析から、断層帯近傍の短縮トラックも含めて、ドライ1気圧でのアニーリングによるものと差異がないことがわかった。これらの成果を取りまとめ、英文学術雑誌に投稿することができた。 (3)かつてプレート沈み込み帯において震源域を形成していたと考えられる、四万十付加帯興津メランジェ/野々川層境界断層について、断層の走向に垂直に39個の試料を系統的に採取し、高精度画像データを用いたFT長分析と年代測定を行った。その結果、断層から上盤側に少なくとも3kmに及ぶ範囲で、FT長の短縮や年代値の若返りが認められた。また、トラック長分布から、試料への加熱が比較的最近あったことが示唆される。今後さらに分析を進めることにより、震源域近傍での熟異常が、いつ、どのように起こったかについて明らかにする予定である。
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