研究課題/領域番号 |
12440140
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 聡 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10236812)
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研究分担者 |
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
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キーワード | 軟体動物 / 系統推定 / 上陸過程 / 進化径路 |
研究概要 |
軟体動物の海洋から陸上への進化径路を明らかにする研究の一環として、有肺類の系統推定を行った。LSUrRNA遺伝子の解析では、有肺類の属の系統的位置は、従来の分類的位置と全く対応しなかった。特にナンバンマイマイ科は多系統で、その多くがオナジマイマイ科の属と近縁であった。また陸貝の別のグループであるヤマキサゴは海産のアマガイ類のなかで、とくにコハクカノコと単系統群を形成した。またゴマオカタニシは、ヤマキサゴが分化する以前に、他のアマガイ類と分化したことが推定された。これらのことは、陸域に進出した巻貝は、著しい形態の多様化のみならず、収斂、平行進化が頻繁に起きたことがわかる。 次に貝の上陸はどのようなプロセスで起きたかを明らかにするため、潮間帯の巻貝であるホソウミニナを材料として、その生活場所の分化、干出した場所への適応進化のプロセスを研究した。その結果、ホソウミニナには、干出の著しい場所と干出の影響のない場所に、それぞれ異なる選好性をもち、形態的にも異なる集団が存在することが明らかとなった。これらの集団は、ミトコンドリアDNAに関しては共通のハプロタイプを持っていた。しかし、ミトコンドリアDNAでは遺伝子流動の状況を知ることはできない。そこで現在、酵素多型、マイクロサテライトDNAおよびAFLPを用いた解析により、これらの集団間で任意交配が行われているかどうか、また遺伝的分化が生じているかどうかを調査中である。
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