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2002 年度 実績報告書

玄武岩マグマの脱ガスと結晶作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12440146
研究機関東京大学

研究代表者

藤井 敏嗣  東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)

研究分担者 安田 敦  東京大学, 地震研究所, 助教授 (70222354)
キーワード玄武岩マグマ / 揮発性成分 / 脱ガス / ガラス包有物 / 斜長石
研究概要

本年度は昨年までの実験的研究の成果を受け,天然の岩石の解析を中心に研究を行なった.実験に用いた伊豆大島火山の岩石のうち,1986年噴火のスコリア中の斑晶に合まれるガラス包有物の化学組成,特に揮発性成分に着目して分析し,実験結果との比較検討を行った.昨年までの研究から,伊豆大島をはじめ島弧のソレアイト玄武岩中に含まれるAn90程度の化学組成をiもつ斜長石を晶出するにはマグマ中に水を3%以上含む必要があることが分かっているが,An90の組成を持つ斜長石斑晶に含まれるガラス包有物が有する水の量は1.5%以下であった.この矛盾の原因として,一旦斑晶中に取り込まれたメルト包有物内の水が解離し,水素成分のみが拡散によって散逸した可能性が考えられる.また,3%以上の水を含むマグマが地下浅部まで上昇する際に,発泡が生じず過冷却状態になって,浅部で脱ガスと同時に斜長石斑晶の結晶化が進行した可能性もある.このことを確認するため,別の揮発性成分である硫黄成分の測定もおこなった.その結果,水の減少に対応して硫黄も減少していることから,後者の可能性が高いことが判明した.
同様の研究を三宅島火山,富士火山の宝永噴火,貞観噴火の際のスコリア試料についてもおこない,水と硫黄成分の関係から斜長石斑晶が低圧での脱ガスにともない結晶化している可能性が高いことが判明した.このように,玄武岩マグマからCaに富む斜長石を晶出するには,比較的多くの水が必要であること,また,斜長石の晶出は玄武岩マグマから揮発性成分が脱ガスする際に生じる可能性が高いことが分った.今後,このようなプロセスが実際に火山で起こりうるかどうか,マグマ上昇の物理モデルの検討が必要である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 安田敦, 中田節也, 藤井敏嗣: "三宅島2000年噴火噴出物のガラス包有物に記録されたマグマのS濃度とfO2環境"火山. 46・4. 165-173 (2001)

  • [文献書誌] 安田敦, 中田節也, 藤井敏嗣: "三宅島2000年噴火:噴出物中のガラス包有物組成の特徴とSO2大量放出の要因"地震研究所彙報. 77. 43-54 (2002)

  • [文献書誌] 藤井敏嗣, 吉本充宏, 安田敦: "富士火山の次の噴火を考える-宝永噴火の位置づけ-"月刊地球. 24・9. 617-619 (2002)

  • [文献書誌] Mibe, K., T.Fujii, A.Yasuda: "Composition of aqueous fluid coexisting with mantle minerals at high pressure and its bearing on the differentiation of the Earth's mantle"Geochim.Cosmoshim.Acta. 66・12. 2273-2285 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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