本研究では、主に(1)H_3^+の解離性電子付加反応の量子動力学、(2)H_2COの広域的ポテンシャル関数の構築とそれを用いた分子解離と異性化反応の量子動力学、(3)NOCl分子の基底及び励起状態のポテンシャル関数の構築と光吸収スペクトルとラマンスペクトルの形状についての量子動力学についての研究を行った。また、遷移金属原子と酸素分子の反応の典型例であるTi+O_2についてポテンシャル面とトラジェクトリー計算を行った。これらの研究を通して、Rydberg状態の量子動力学と記述する有効ハミルトニアンや累積反応確率を求める効率的な計算法の開発を行った。 これらの研究の結果、これまで多くの実験研究がなされていたにも拘わらず明確な描像が得られていなかった反応過程に対して高精度の電子状態と量子動力学に基づいた信頼できる回答を与えることができた。
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