研究課題/領域番号 |
12440165
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
笠井 俊夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (20152613)
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研究分担者 |
岡田 美智雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281116)
蔡 徳七 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20273732)
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キーワード | 立体ダイナミクス / OHラジカル / シリコンクラスター / シリコン表面 / 配向分子線 / レーザー蒸発法 |
研究概要 |
本研究は"シリコン半導体表面と飛来する分子の反応"と"それに相当する原子と分子の気相反応"の反応性の相違は、(1)表面を形成する原子間の相互作用と(2)表面を形成する電子状態の違いに起因するという着想の下に、その物理化学現象をミクロレベルで系統的に解明することを目的としている。本研究ではOHラジカルとシリコン(Si)原子、その二量体及びSi表面の酸化反応を取り上げ以下の実験を行った。 気相反応においてはSiクラスターとOHラジカルの反応におけるSi, Si2クラスターのサイズによる反応性の違いから、クラスターを生成している原子間力の化学反応への影響を明らかにした。我々はレーザー蒸発法を用いてSiクラスターを高密度に発生することに成功した。また蒸発用レーザーの遅延時間を変化させることでSiモノマーとダイマーの生成比を自由に制御する方法を開発した。一方、水の直流放電によりOH(またはOD)ラジカルを生成しレーザー誘起蛍光法により検出した。分子線強度は1x10^<12>(molecules/sr/s)と見積もった。これは反応生成物を検出する研究において十分なラジカルビーム強度を有する。生成したOHラジカルを六極不均一電場を用いて配向状態を選別し、その配向分布関数を求めた。現在、シリコンクラスターとOHラジカルの反応により生成した水素原子を多光子イオン化法を用いて検出し反応における分子配向依存性及びSiモノマーと二量体のそれぞれの反応性についての比較検討を行っている。 表面反応においてはシリコン表面を形成する原子の電子状態が反応にどのように影響するのかを解明するのに必要な六極電場長はモンテカルロシミュレーションから1mが適していることをつきとめ、その結果に基づき六極不均一電場配向分子線装置を装着した超高真空表面反応装置の製作を完了した。現在、配向分子ビーム特性の評価を行っている。
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