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表題の研究は、使用予定であった既存設備カラーセンターレーザーに重大な故障が生じたため計画調書の通りに遂行することは困難となった。そこで少し計画を変更して、同じ趣旨に沿う下記の研究を行った。まずキャビティーリングダウン法とマイクロ波を組み合わせた二重共鳴分光の装置を製作する準備として、真空槽、パルス色素レーザー装置及び周辺の光学素子等の整備を行った。現在これらを用いて、LIFスペクトルを測定し、ヨード分子のスペクトルを基準として波長測定が出来るようにするため調整を行っている。ダイオードレーザーによる赤外高分解能分光の研究については、光解離用のエキシマーレーザーとして繰り返しの早いものを購入し、設置した。これを用いて鉄ペンタカルボニルの光解離で生成する鉄トリカルボニルラジカルを検出する実験を行った。室温における測定では、回転構造が分離されない幅の広いスペクトルが測定されるのみであったので、超音速分子線と組み合わせて対象分子の回転温度を低下させ、スペクトルを単純化した状態で観測する試みを行った。その結果、回転構造が部分的に分解されたと見られるスペクトルを観測した。このスペクトルには、多数の回転線が重なって生じたと思われる構造が繰り返して現れており、その繰り返しの間隔は鉄トリカルボニルラジカルによるものとして妥当な値をもっている。良質のスペクトルを得て確定的な帰属を付けるには、ラジカルの生成条件を改良してさらに低温の状態を作り出す必要があると判断し、その方向で検討を進めている。
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