研究課題/領域番号 |
12440171
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
谷村 吉隆 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (20270465)
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研究分担者 |
鈴木 陽子 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70342631)
奥村 剛 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (80271500)
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キーワード | 2次元ラマン分光 / ブラウン運動 / 不均一広がり / 位相整合条件 / 2次元赤外分光 |
研究概要 |
本年度は、昨年度開発した汎用プログラムを用いて、非線形の熱浴との相互作用により2次元分光の信号がどのように変化するか詳細な解析を行った。これらの解析は1モードに対してであるが、プログラムをさらに2モードに拡張し、計算を行った。拡張すると計算時間が数十倍となり、計算時間がかかりすぎる問題があり、それを克服するためのさまざまな近似的手法を試した。2次元分光法は近似に非常に鋭敏なため、大きな近似をすると全く非物理的な結果を得かねない。そこで、リファレンスとするために、時間がかかるがまず近似抜きの計算を行っている。近年、パーソナルコンピューターの価格性能比が大幅に向上し、これらの計算も最新のパソコンを並列化することにより可能である。現在、プログラムの並列化を勢力的に行っている。 また、2次元回転系の2次元分光についても、経路積分を用いて解析に求めた標識を使い、さまざまな条件下で詳細な解析を行った。回転系の1次元スペクトルでは緩和をいれるとピークが大きく広がり量子的効果を観測することが困難であるが、2次元分光を用いると異なる準位に対する量子的遷移が、緩和が大きな場合も明瞭に観測され、量子効果を調べるのに有効な手段であることがわかった。強緩和の場合について解析を特に詳細に行い、2次元回転系での1次元スペクトルで観測される低振動数のピークと、ガラス等のラマン分光等で観測されるボゾンピークとの関係について議論し、もしこれがボゾンピークと関係しているなら2次元分光スペクトルを測定すれば、より明確に判断できることを示した。また、研究対象を双極子液体に拡張するために、2準位双極子系をイジングモデルでモデル化して、そのダイナミックスを調べるための基本方程式の導出し、その数値計算のために必要な乱数のプログラムの開発を行った。
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