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2000 年度 実績報告書

SS結合の動的性質を活用するロタキサン合成の新手法と分子性素材

研究課題

研究課題/領域番号 12440181
研究機関大阪府立大学

研究代表者

高田 十志和  大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (40179445)

研究分担者 古荘 義雄  大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00281270)
木原 伸浩  大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (30214852)
中西 三郎  大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (40081343)
キーワード[2]ロタキサン / [3]ロタキサン / ジスルフィド結合 / 可逆的開裂 再結合 / 熱力学的安定性 / 全平衡 / ポリロタキサン / 二官能性クラウンエーテル
研究概要

本研究は、ジスルフィド結合の可逆的な開裂-再結合を巧みに利用してロタキサンの合成を行おうとする斬新な研究である。本年度の目標は、この合成反応の特性解析、生成ロタキサンのキャラクタリゼーション、並びに本合成法の応用である。
この合成反応系では、生成物の分布が系の濃度や温度によって変わることを明らかにし、系が全平衡であるためと結論した。すなわち、アセトニトリルークロロホルム混合溶媒中で、二つのアンモニウム塩構造を持つジスルフィドとジベンゾ-24-クラウンエーテルを適当な割合で混合し、生成物のできる様子をNMRスペクトルにより追跡した。温度を下げるほど熱力学的に安定な[3]ロタキサン生成が有利となり、濃度を高くしても同様に錯形成が有利となった。このことを利用して、[2]ロタキサン、[3]ロタキサンのもっとも収率の高い条件を見いだし、最高単離収率69%、89%でそれぞれ得ることに成功した。
一方、得られた[2]ロタキサンには、クラウンエーテルが錯形成できるアンモニウム塩構造をもう一つ持っており、条件によっては二つのアンモニウム塩構造の間を往復運動することが期待される。いわゆるシャトリング運動であるが、今回得られた[2]ロタキサンでもその挙動が観測され、約60kJ/molの活性化自由エネルギーを持つことが、NMRスペクトル解析により明らかとなった。
このロタキサン合成法の応用として、ポリロタキサン合成を検討した。軸成分であるアンモニウム塩構造を持つジスルフィドと、輪成分として新たにアミド結合でジベンゾ-24-クラウンエーテルを2分子結んだ二官能性のクラウンエーテルを用いて、同様の反応を検討した結果、重合度は低いものの、はじめてトポロジカルな結合のみで構成されるポリロタキサンを得ることに成功した。非常に重要な研究成果であるので、来年度はこの研究を中心に進めるつもりである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 古荘義雄: "ロタキサンとカテナンに基づく分子モーター開発"科学と工業. 74[10]. 477-482 (2000)

  • [文献書誌] 古荘義雄: "ポリロタキサン、ポリカテナンの合成と機能"機能材料. 20[12]. 19-27 (2000)

  • [文献書誌] Yoshio Furusho: ""Unlock-Lock" Approach to [2] and [3] Rotaxanes : Entering of a Ring through disulfide Linkage That is Unlocked by Thiol "Key""Chem.Lett.. 2000. 18-19 (2000)

  • [文献書誌] 古荘義雄: "スリッピングによるロタキサン、ポリロタキサンの合成-新しい高分子合成法を考える"高分子加工. 50. (2001)

  • [文献書誌] 木原伸浩: "水素結合に基づくインターロックト化合物の合成-ロタキサン、カテナン合成の最近の進歩-"有機合成化学協会誌. 59. (2001)

  • [文献書誌] Nobuhiro Kihara: "Rotaxanes Synthesized from Crown Ethers and sec-Ammonium Salts"Reviews on Heteroatom Chemistry. 21. (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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