研究概要 |
標題化合物の速度論的安定化による合成・単離を意図し、かさ高いボウル型置換基であるBmt基(4-t-ブチル-2,6-ビス[(2,2",6,6"-テトラメチル-m-テルフェニル-2'-イル)メチル]フェニル基)を用いた。BmtBrを出発物質としBmt(R)GeH_2[R=t-BuまたはTip(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)]を得た。これらとt-BuLiおよび引続く硫黄との反応または直接の硫黄との熱反応によりBmt(R)GeS_4(1a:R=r-Bu,1b:R=Tip)を合成した。1aを2,3-ジメチルブタジエンの存在下にトリフェニルホスフィンで脱硫したところゲルマンチオンBmt(R)Ge=S(2a)との[4+2]付加体が得られた。しかしジエンを共存させない場合には2aの二量体が得られた。そこでよりかさ高い置換基をもつ1bとトリフェニルホスフィンを2,3-ジメチルブタジエン共存下に反応させたところ、[4+2]付加体が得られ、一方共存しない場合にはゲルマンチオン(2b)を得た。2bは本研究での目的化合物であるゲルマノンBmt(Tip)Ge=Oの良い前駆体となると考えられる。また同様の試みをケイ素化合物についても行った。Bmt(R)SiH_2(R=Ph,t-Bu,メシチル,Tip)を合成し、それを対応する塩化物Bmt(R)SiCl_2(3)に変換した。この中で最もかさ高いBmt(Tip)SiCl_2,をリチウムナフタレンドで還元後硫黄と反応させテトラチアシロランBmt(Tip)SiS_4を得た。これから目的化合物Bmt(Tip)Si=Oの前駆体となるシランチオンBmt(Tip)Si=Sが得られると期待される。
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