研究課題/領域番号 |
12440193
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 利彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20200917)
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研究分担者 |
雨宮 健太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80313196)
近藤 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (80302800)
太田 俊明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011675)
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キーワード | 分散型XAFS / 時間分解 / 分子吸着 / 表面反応 |
研究概要 |
本課題はこれまで世界的に例のない軟X線領域の分散型表面XAFSの開発を行い、表面反応過程をリアルタイムで追跡することを目的としている。本年度はその初年度であり、高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光研究施設内の東京大学スペクトル化学研究センター所有の軟X線ビームラインBL-7A末端にミラーシステム及び位置敏感型電子エネルギー分析器を組み込んで、分散型XAFS測定システムの立ち上げを行った。ミラーシステムは光のエネルギー分散方向を電子エネルギー分析器の空間分解軸方向に合わせるために、縦方向に分散した光を90度回転して試料上で横方向に分散した光になるように2枚の平面ミラーを組み合わせて配置したもので、当初の設計どおり、500eV付近の幅20eVの光を試料上で横方向4mmに分散させることができた。このような光を試料に照射することによって放出された光電子を、位置敏感型電子エネルギー分析器の倍率5倍の電子レンズを用いて2次元検出器上に拡大して結像させ、放出した位置ごと(127点に分解)の光電子スペクトルを一度に測定した。この光電子スペクトルを適当なエネルギー範囲で積分し、光電子放出位置すなわちX線エネルギーに対してプロットすることによって、表面のXAFSスペクトルを得た。性能を評価するためにAu(111)面上へのフラン(C_4H_4O)の吸着、及びNi(111)面に吸着したメトキシ(CH_3O)のCOへの熱分解反応をリアルタイムで追跡した。その結果、サブモノレイヤー以下の表面吸着層に十分な感度があり、表面過程を秒オーダーの時間分解能で追跡することが可能であることが分かった。従来の単色光を用いる方法では、等価な表面XAFS測定を行うのに数分を要することから、約100倍の速度で測定ができるようになったことになる。
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