研究課題
エレクトロ・ルミネッセンス(EL)素子の開発が多くの注目を浴びる理由の一つに、コンデンサー型の素子に電場を印加するだけで発光するという極めて簡単な機能発現機構をもつことが挙げられる。この特徴をもつことから、単に素子が低コストになるというだけでなく、さまざまな巾広い応用が考えられる。とくに有機レーザへの展開は注目されている。本研究開発の核心は、我々が独自に開発したブルームライン放電方式による駆動方式を用いると、高い輝度が得られるばかりでなく、高い印可電圧を用いることができるとともに、高速のパルスEL発光が得られるという特色がある。この方式の適用によって、これまで耐電性の観点から応用には適さないと考えられてきた有機金属錯体が実用に向けた発光材料の研究対象として大きくクローズアップされた。本研究では、Alq_3(q:p-quinorinol)型の錯体に着目して、この種の錯体が様々なクラスターを形成することによって発光波長が変化することや金属の種類に応じて発光寿命を制御できること点に主眼において、既に様々物質探索を行っている。中でも、我々が開発したZn2PhTz4:青色発光(特許申請中)では配位子に原子半径の大きな硫黄原子を導入することによって、キャリヤーの移動度が著しく大きいことが判明し、この事実は有機レーザを開発する上では非常に価値が高い。現在、この物質を用いて、外部コンデンサーが素子内に組み込まれた有機マイクロレーザー素子を試作しており、世界最初の波長可変のマイクロレーザーの実現に向けた新しい試みを開始している。
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