研究概要 |
溶液内で電場により分極された金属微粒子に光照射を行い、局所的な電気化学反応を誘起することを試みた。光照射ならびに電場印加により、Ag微粒子の担持密度は減少し、その粒子形状が変化することがわかった。この形状変化の様子は光強度に依存し、光強度が比較的強い場合には粒子径の増大が観測された。この変形には光照射と電場印加の両方が必要であることが明らかとなった。本系においては、分極下での光照射により個々のAg微粒子それぞれにおいて局所的な電気化学反応が誘起され、微粒子の溶解・析出が外部電極とは非接触の状態にて進行した。この光・電場変形は、電解質溶液組成、金属アイランドの密度、基板の導電性を制御することにより他の金属や異種金属積層薄膜においても適用可能であった。この手法を用いて局所溶解・析出反応の速度を制御することにより絶縁基板上にてナノオーダーでの金属構造制御が可能となることが示された。 4極の電気化学系を用い溶液内でAu細線を溶解させて微小ギャップ形成し、そのギャップに種々の金属を電析させナノ接合を形成することを試みた。その結果、Cu, Ag, Ni, Pdなど金属で量子化の単位値(G_0=2e^2/h)を有するナノ接合が非常に安定に形成されることが示された。またこれら金属とPbを用いた接合の量子化挙動の比較により、最子化伝導に関与する電子軌道の特徴が明らかとなった[4]。
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