研究概要 |
1.電気泳動によるイオンサンプリング能を内蔵するガラスキャピラリーセンサーを作成した.モデルイオンとして[Fe(CN)_6]^<4->及びフェロセニルメチルトリメチルアンモニウムを用いて,φ1-2μmの円錐型先端をもつガラスキャピラリー電極では,イオンの電気泳動速度は電気浸透流よりも速く,電荷選択的にイオンがキャピラリー電極内部へと輸送されることを見出した.この原理に基づいて,電荷選択的イオンサンプリング能をもつキャピラリー超微小電極を創案し,その感度,応答速度,選択性について検討した. 2.脂質二分子膜中のチャンネル分子の側方拡散を,目的物質-脂質相互作用によって制御する新しい原理のセンサーを,グラミシジンシングルチャンネルを用いて開発した.このセンサーでは,認識部位を修飾した脂質二分子膜表面での分子認識反応をチャンネルの側方拡散の変化として検出する.目的物質及び認識素子のモデルとしてアビジン誘導体及びビオチンを用い,センサーの原理及び感度について調べた. 3.逆行性神経伝達物質のアラキドン酸を脳スライス内のその場で検出する脂質二分子膜センサーの開発に着手した.マウス脳より取り出したスライス標本中の細胞膜をガラスキャピラリーで掴み取り生体膜センサーを作成し,スライス内でのアラキドン酸の応答挙動について検討した.その結果,生体膜センサーでは,10nMもの低濃度のアラキドン酸を検出できることを見出した.
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