1.海外学術調査および外国研究機関との連携により、シベリア地域(ブリアート族)、オホーツク地域(サハリン・ニブフ族、カムチャッカ・コリヤーク、エヴェンキ族)、東南アジア地域(タイ、インドネシア、マレーシア)、台湾(先住高山族)、オセアニア地域(パプアニューギニア、ポリネシア)の先住民集団の血液試料を収集し、リンパ球の分離やDNAを精製した。 2.それらのDNAから、PCR法によってミトコンドリアDNA・Dループ領域を増幅し、DNAシークエンサーにより塩基配列を決定した。これらの配列データより、各先住民集団内での塩基多様度の算出、各配列間の塩基置換数による遺伝子系統樹を作成した。 3.既に得られているアフリカ人、ヨーロッパ人、日本人を含む東アジア人、アメリカ先住民での相同領域の塩基配列と比較することによって、各先住民集団の現生人類全体での遺伝的位置づけを明らかにし、さらに遺伝子系統樹による評価を行った。 4.ミトコンドリアDNAの小領域(COIIとtRNA^<Lys>の間のnoncoding領域)に観察されるモンゴロイドに特異的な9塩基欠失の頻度をPCR法を用いて各先住民集団に関して明らかにした。 5.Y染色体DNA多型および血清タンパク質多型を上記の諸人類集団において検索し、ミトコンドリアDNAで得られたデータを加味して、人類集団の分化・拡散の動態に関して総合的な評価を行った。
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