研究課題/領域番号 |
12440220
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
東浦 康友 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60322492)
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研究分担者 |
原 秀穂 北海道立林業試験場, 森林保護部, 病虫科長
石原 通雄 兵庫医科大学, 生物学教室, 助教授 (50068491)
山形 秀夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20023468)
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キーワード | マイマイガ / 性比異常雌 / male-killing / mtDNA / 地理的分布 / 数理モデル |
研究概要 |
マイマイガの性比異常雌の原因究明や系統分析のためには人工飼料による飼育技術の確立が必要である。このため、種々の昆虫飼育飼料により飼育を行い、最適な人工飼育システムを確立した。すなわち、アメリカ合衆国、Bio-Serv社のHigh Wheat Germ Gypsy Moth Dietを飼料として、Sweetheart社の紙製蓋付きプラスチック容器で20℃で飼育する。日本製の飼料には好適なものはなかった。 北海道美唄市で平成11年10月〜平成12年2月に採集した300近くの卵塊から幼虫を飼育し、ミトコンドリアDNAによる系統解析を行うための材料を-80℃で凍結保存した。 平成7年から2林分で性比異常雌の頻度を追跡している美唄市の個体群で、今年度も卵塊数を調査し、卵塊のごく一部を採集した。 性比異常雌の地理的分布を明らかにするため、全国各地で採集を行った。卵塊が10個以上採集できた地域は、北海道中川郡中川町と河東郡鹿追町、岩内郡共和町、新潟県中魚沼郡中里村、東京都葛飾区水元、愛知県豊田市、広島県庄原市の7地域である。 愛知県豊田市ではマイマイガとともに、極近縁のオオヤママイマイも採集し、来年度に飼育を行って性比異常雌の存在を確かめるための材料を得た。また、オオヤママイマイのフェロモンは今まで知られていなかったため、EADによる分析によって構造式も明らかにした。 性比異常雌が個体群で存続するための条件を数理モデルによって分析し、鱗翅類でこれまで知られている性比異常のケースについて存続の条件を明らかにした。しかし、マイマイガでは今のところ性比異常雌の系統から正常雌への復帰が観察されないことから、中立平衡以外の条件は見いだせない。今後、復帰の頻度を厳密に推定することと、性比異常雌の原因を究明することにより、新しい存続条件に光を当てることが可能である。
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