研究概要 |
XTH遺伝子群(旧称XRP遺伝子群)の各メンバーの機能分担という視点から同じファミリーの各メンバーの発現解析およびプロモーター解析を行い以下の結果を得た。 1)アズキXTH遺伝子の中、非常に類似したORF構造を持つ二つの遺伝子VaXTH1とVaXTH2は伸長中の茎の師部繊維で高い発現を示す点で共通しているが、茎内の発現パターンは異なり、VaXTH1は茎頂に近い部位の師部繊維でより高い発現を示すのに対して、VaXTH2はより基部で高い発現を示している。この結果は、両遺伝子が同じ発現組織特異性を持ちながら、師部組織の分化の過程での発現時期が精緻に制御されていることを示している。更に両遺伝子はIAAによる発現誘導を受ける点で共通しているが、0.25Mマニトール中でのIAAに対する応答が両者で異なること、フシコクシンはVaXTH1の発現を高めるが、VaXTH2の発現を高めないこと等からホルモンン制御においても、異なる制御を受けていること考えられる. 2)シロイヌナズナの33XTH遺伝子について、定量real-time RT PCRにより発現器官特異性およびホルモン応答性を包括的に解析した結果、それぞれの遺伝子が固有の発現器官特異性と持ち、固有のホルモン応答性を示すことが明らかとなった。 3)シロイヌナズナの根で高い発現特性を示す4つの姉妹遺伝子AtXTH17,18,19,20についてゲノム構造の解析とプロモーター::GUS融合遺伝子を導入して形質転換植物を用いたプロモーター機能解析を行い、根特異的な発現特性に係わるcis領域を特定した。また、これらの4つの遺伝子は根での発現組織特異性をそれぞれことにすることを明らかにした。 以上の結果は、細胞型に固有の細胞壁構築遺伝子セット仮説を支持するものである。
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