研究概要 |
CO_2濃縮機構で最も重要なCO_2ポンプには、NdhD3/NdhD4を含むNADPHデヒドロゲナーゼが必須である事を明らかにした。NdhD3依存型CO_2ポンプはCO_2に高い親和性を示し低CO_2濃度下で誘導されるのに対し、NdhD4依存型CO_2ポンプのCO_2に対する親和性は低く、その活性は培養に用いたCO_2濃度に依存しない事が判った。これまでの研究でcmpオペロンがHCO_3^-輸送体をコードする事を明らかにした。ndhD3,ndhD4およびcmpを不活性化させた変異株は低CO_2条件下においてはpH7.0では生育しないがpH9.0では生育した。この株をさらに変異処理を行いpH9.0/空気条件下でも生育しない変異株を単離し、変異遺伝子はslr1512である事を明らかにした。この遺伝子(sbtAと命名)を破壊した変異株はほとんどHCO_3^-輸送活性をもたず、さらにcmpを不活性化する事によりHCO_3^-輸送活性は完全に無くなった。この結果、sbtAは新たなHCO_3^-輸送体をコードする事が明らかになった。また、SbtA依存型HCO_3^-輸送はNa^+を要求した。抗SbtA抗体を作製し、単離したチラコイド膜と細胞質膜についてWestern分析を行った結果、SbtAは細胞質膜に局在する事が判った。また、免疫沈降によって分子量約1万のタンパクがSbtAと共沈する事を見い出し、このタンパクのアミノ酸配列を決めた結果slr1512の下流に存在するslr1513(sbtBと命名)がコードするタンパクである事が明らかになった。
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