研究概要 |
1.エンドウヒゲナガアブラムシのブフネラに見いだされた未知遺伝子yba2,yba3およびyba4は,他種のアブラムシにおいても存在することが示された. 2.これらの遺伝子におけるコドン使用頒度を調べたところ,進化的に問題となるATバイアスの受け方は他の遺伝子と同程度であり,これらが近年の遺伝子水平転移によって穫得されたものでないことが示された. 3.yba2は単独に,yba3およびyba4は単一オペロンとして発現され,それを制御するのはσ70タイプの開始因子であることが明らかになった. 4.単離したブフネラのプロテオーム解析を行い,ゲノムにはコードされていないタンパク質が100種類以上含まれていることを明らかにし,部分アミノ酸配列の検討とトフ・マス分析によって,それらのほとんどすべてを同定した. 5.上記のタンパク質は何れも宿主昆虫に由来するが,そのうちでとくに多量に存在するアクチンについて,そのcDNAの塩基配列を決定した. 6.アブラムシに抗生物質リファンビシンを注射して得られる次世代はブフネラを保有しない非共生虫となる.これらの非共生虫の特徴の1つは,体内に共生虫にはみられない真菌および細菌が多量に増殖しつつあることが明らかになった.この結果は,共生虫ではブフネラが何らかの方法でこれら微生物の感染ないしは増殖を抑制している可能性を示咳するものであろう. 7.アブラムシは一般に無翅型と有翅型というポリモルフィズムをもつが,ブフネラゲノムに含まれる多くの遺伝子の発現パターンに関して,2つのモルフの間には著しい違いのあることが明らかになった.
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