研究概要 |
ゼブラフィッシュに関して:ゼブラフィッシュの赤型視物質遺伝子と緑型視物質遺伝子がそれぞれ2種類(LWS-1,LWS-2)及び4種類(RH2-1,RH2-2,RH2-3,RH2-4)ずつ存在し、青型(SWS2)、紫外線型(SWS1)、桿体型(RH1)は1種類のみであることを明らかにした。また、これらのうちLWS-2,RH2-2,RH2-3は新規遺伝子であることを示した。また、視物質再構成実験と吸収光波長測定によりこれらのサブタイプ間及びタイプ間に最大吸収波長(λmax)の大きな分化が生じていることを明らかにした。さらにリアルタイム定量PCRにより、これらの視物質遺伝子が全て網膜で発現しており、タイプ及びサブタイプ間に大きな発現量の相違があることを明らかにした。桿体視物質遺伝子(RH1)に関しては、遺伝子上流域-GFPレポーターによるトランスジェニックゼブラフィッシュの解析により、遺伝子上流1.1kbが桿体視細胞特異的な発現を誘導するのに十分であることを示した。 夜行性霊長類に関して:真猿類中唯一夜行性であるヨザルではY染色体にも赤-緑視物質遺伝子が存在し、それが非常に多様性に富むことを発見した。また、夜行性への適応進化を考察する上で興味深いことに、夜行性であるロリス科の原猿類が2つの桿体視物質遺伝子を有する可能性を示した。さらに夜行性と錐体視物質遺伝子の不活性化の関連を研究する上で重要な知見として、ロリス科原猿類においては青視物質遺伝子が偽遺伝子化していることを見出した。同じく夜行性への適応進化として赤-緑視物質光感受性の青方シフトがこれまでマウスやヤモリにおいて指摘されていたが、ガラゴにおいても独立にこの青方シフトが生じていることをガラゴ視物質の再構成実験により明らかにした。
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