研究概要 |
本基盤研究では、SiH_4,GeH_4,CH_3SiH_3を原料ガスに用いたSi-Ge-C系原子層CVD法と原子層窒化法を組み合わせ、Si中に任意の任意の周期でGe,C,Nの各原子層を配列して共鳴トンネルダイオードに適用することにより、通常の不規則混晶材料では見られない新規物性の発現を制御・観測することを目的とする。本年度はその初年度として、Si-N系、Si-Ge-C系の原子層周期へテロ構造を形成する研究を進めた。具体的には、Si,Ge,C,Nの各原子層を形成するためのSiH_4,GeH_4,CH_3SiH_3,NH_3等の原料ガス分圧・フラッシュランプ光強度・前処理条件を調べるとともに、原子層形成条件と表面のSi,Ge,C,N原子層及びH原子の吸着状態との関連性を調べた。その結果、Ge(100)表面にSiH_4やCH_3SiH_3を導入すると一原子層のSiが自己制限的に形成される現象を見い出し、特にCH_3SiH_3を用いた場合には、一原子層のCが同時に表面に吸着し、600℃までの熱処理をおこなってもSi原子層とGe基板との相互拡散は抑制されることを明らかにした。また、NH_3による低温熱窒化法により形成した窒素吸着Si(100)表面上におけるSiの成長を調べ、表面窒素密度2×10^<14>cm^<-2>以下の場合において、SiH_4を用いたフラッシュランプ光照射による瞬時加熱法により、400℃以下の低温でのSiのエピタキシャル成長が可能であることを明らかにした。また、Si_<0.6>Ge_<0.4>混晶量子井戸と二重Si障壁層を用いた共鳴トンネルダイオードの製作プロセスを構築し、製作したダイオードの電流-電圧特性において、明瞭な共鳴電流ピークが現れることを確認した。以上のように、Si-Ge-C-N系原子層積層による共鳴トンネルダイオード実現のために必要不可欠となる大きな成果を得た。
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