研究課題/領域番号 |
12450011
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 養一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30214604)
|
研究分担者 |
藤田 茂夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026231)
上野山 雄 松下電器産業株式会社, 先端技術研究所, 主担当
岡本 晃一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員
|
キーワード | ワイドギャップ半導体 / 励起子 / 輻射再結合 / 非輻射再結合 / 過渡グレーティング法 / 熱レイズ法 / 時間ダイナミクス / 空間ダイナミクス |
研究概要 |
本研究は、(1)ワイドギャップ半導体において活性層に注入されたキャリア/励起が非輻射再結合中心へ捕獲される様子を定量的かつダイナミックに評価すること、(2)非輻射再結合中心の原子構造を同定しその電子状態を明らかにすること、(3)さらにこれらの情報を結成成長条件にフィードバックさせて原子レベルで制御された結晶成長法を開発することを目的としている。本年度は、特に(1)に関して研究実績が得られた。具体的には、 1.ナノ秒パルスのNd:YAGレーザーの三倍高調波(355nm)を重ね合わせてつくった光学的干渉縞によって試料を励起し、HeNeレーザーによるプローブ光(633nm)の回折光を光電子倍増管で検出することによって、ZnCdSe系およびInGaN系半導体の非輻射再結合過程によって生じる熱信号を測定した。InGaN系半導体のほうが、ZnCdSe系半導体よりも数倍熱伝導度が高く、高電流駆動時に有利に働くことが示された。 2.励起レーザをパルス幅600fsのOPA(Optically Parametric Amplifier,380nm)とすることで、光生成した励起子の拡散過程も評価でき、時間のみならず空間的なダイナミクスもからめた輻射・非輻射再結合過程を評価することに成功した。すなわち、時間分解フォトルミネッセンス法から測定される発光寿命と、本ピコ秒・サブピコ秒グレーティング法で測定される拡散定数から、活性層中のIn濃度によってキャリア・励起子の拡散距離がどの様に変化するかを系統的に評価できるようになった。 3.顕微鏡下で熱レンズ法による熱信号の検出に成功した。熱信号強度をマッピングすることで0.5〜1ミクロン程度の空間分解能で熱マッピングを行うことができるようになった。 今後、本手法を発展させ様々なワイドギャップ半導体低次元構造でデータを蓄積することにより再結合機構に関する統一的な理解が得られるものと期待している。
|