研究課題/領域番号 |
12450012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾崎 雅則 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50204186)
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研究分担者 |
藤井 彰彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80304020)
吉野 勝美 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70029205)
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キーワード | 強誘電性液晶 / 自己保持膜 / 分極反転 / 自発分極 / 界面分極 / フレクソエレクトリック分極 / 焦電効果 |
研究概要 |
液晶の界面近傍のオーダーパラメータの空間分布の歪みに起因する巨視的分極である界面分極と、液晶配向場の空間的な歪みに起因するフレクソエレクトリック分極の符号及び絶対値を、短パルスレーザーを光源とした焦電効果の測定から精度良く評価し、四重極子の寄与が重要であることを明らかにした。ここで、分極値の絶対値の評価に際して、複屈折の温度依存性を利用した新しい液晶試料内の温度測定技術を確立した。5CBの垂直配向界面での分極に関しては、分極がバルクから基板界面を向いており、5CB分子のアルキル基が基板方向を向いていることが明らかとなった。このことと界面分極の大きさが配列した分子の双極子モーメントから期待される値に比べて小さいこととを考慮すると、5CB分子の双極子モーメントは有効に寄与しておらず、四重極子の配向秩序の空間分布による分極の寄与の可能性が考えられる。また、5CBのフレクソエレクトリック分極係数の符号が負であり、80CBのそれと符号が逆であることが明らかとなり、その原因が永久双極子モーメントの分子内での向きに関係するものであることを指摘した。さらに、80CBのスメクチックA相におけるフレクソエレクトリック分極の評価も行った。 ピリミジシ系ホスト液晶に螺旋誘起力の強いカイラルドーパントを添加し、螺旋ピッチの長きが数百ナノメーター以下の短ピッチ強誘電性液晶を実現し、螺旋ピッチを系統的に変化させた試料を用いて、それらの自発分極、誘電率、電気光学応答などの測定を行い、誘電率の異常な温度依存性の原因を螺旋構造の温度依存性によるものであるとして検討を行った。
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