研究課題/領域番号 |
12450019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
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研究分担者 |
福井 賢一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60262143)
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キーワード | 遷移金属炭化物 / モリブデン炭化物 / 表面炭素組織構造 / 走査トンネル顕微鏡 / 非接触原子間力顕微鏡 / 走査トンネル分光 / 電子状態制御 / 表面反応サイト |
研究概要 |
本研究の目的は、セラミック的な性質と金属的な性質を併せ持つ物性的に興味ある物質系である遷移金属炭化物のうち、白金系貴金属に匹敵するような優秀な触媒活性・選択性を示すモリブデン炭化物(Mo_2C)の単結晶(0001)表面の原子配列及び電子状態を精密にコントロールすることにより高機能表面を創出することである。本年度は主に走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて研究を展開し、さらに精密な表面電子状態測定のための走査トンネル分光(STS)を整備した。 1.表面炭素組織構造の構造制御と反応性の検討 Mo_2C(0001)試料表面温度の精緻な制御を可能にすることで、(√3x√3)R30°-honeycomb構造、c(2x4)-ジグザグ列構造、炭素クラスター構造などの表面炭素組織構造を再現性よく作製することに成功し、その原子分解能STM観察にも成功した。さらに、それらの炭素組織構造の反応性を検討し、酸素ガス露出により構造選択的なエッチング反応が室温という低い温度で進行することを初めて見いだした。 2.走査トンネル分光(STS)による表面電子状態の検討 今年度、SPMコントロールシステムを新規導入して測定系のノイズ低減を計り、微小トンネル電流を用いたSTM測定を可能にした。さらに、このシステムを基本とし、精緻な表面電子状態測定のためのSTS測定系の整備を行った。これまでのSTM観察で表面炭素近傍には配位環境に依存して特異な電子状態が形成されていることが示唆されており、それが上記の反応性の違いとなって現れると考えている。現在、測定系の整備がほぼ完了し、すぐに予備的な測定を開始する予定である。
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