研究概要 |
1.シリコン(100)表面の高分解能Si2p光電子分光を300Kから30Kの範囲で精密に測定し,30Kまで非対称ダイマーが安定であることを実証した. 2.シリコン(100)表面の非対称ダイマーの化学反応性を調べるために,トリメチルアミン(TMA),BF_3,CO, H_2O, NH_3などの分子を低温で吸着させ,走査型トンネル顕微鏡(STM)で観察した.TMAは非対称ダイマーのダウンダイマーに100%選択的に吸着することがわかった.水分子は2つの隣り合ったダイマーでHとOHに解離吸着することが解明された.また,これが長年謎であったc欠陥の原因であることがわかった.アンモニアやCOはc欠陥に優先的に吸着することがわかった. 3.シリコン(100)表面とビニルブロマイドの相互作用を高分解能電子エネルギー損失分光(HREELS)で調べた.物理吸着,化学吸着,解離過程をHREELSで段階的に追跡し,物理吸着から化学吸着への活性化エネルギーを見積もった. 4.シリコン(100)表面とトリフルオロプロパノール(TFIP)の相互作用を高分解能電子エネルギー損失分光(HREELS)で調べた.低温でTFIPはOH結合を切断して解離吸着することがわかった. 5.Pt(997)表面におけるCO, N_2,NOの低温領域での吸着状態を,赤外反射吸収分光(IRAS)を用いて詳細に調べた.COの過渡的拡散距離を約7Åと見積もることに成功した.
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