気液界面を利用した写し取り法を開発し、以下の成果を得た。フラーレンエピタキシャル薄膜作成法を用いて二次元フラーレンポリマーの構築と確認を行った。 (1)気液界面を利用したエピタキシヤル薄膜作成法を提案し、フラーレン、フラーレン類縁物、難水溶性芳香族化合物への応用が可能であることを確認した。特に、電気化学的置換法では、非常に高品質なエピタキシャル膜を簡単な条件で作成できることを明らかにした。 (2)様々な基板上でフラーレンの高解像度STM観察に成功した。特にC60およびC70の内部構造の観察に溶液中で初めて成功した。 (3)不安定で蒸着には耐えないフラーレントリマー異性体の構造決定を世界で初めて成功した。 (4)C_<60>クロロホルム溶液を展開して作成した気液界面でのフラーレン分子膜を、Heガス雰囲気下、中圧水銀ランプを照射することにより、フラーレンポリマーを合成した。これは、我々が知る限り世界で初めての試みである。生じたフラーレンポリマーを基板上にすくい取りIR-RASスペクトルおよびSTM観察により、フラーレンポリマーの生成を確認した。
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