本研究計画は、近接場光が存在する光学境界面で微粒子や蛋白分子などを観測・操作するために、近接場でそれらの粒子が受けるエバネッセントフォトン力を利用して(1)微粒子等を回折限界以下の分解能で観測する超解像顕微法の開発、(2)先端に集束構造を持たせた特殊形状の光ファイバーマニピュレーターを開発して微粒子等を捕捉、操作させるシステムの開発、および(3)これらを統合した近接場領域における分子や微粒子の反応、合成を可能にするシステムを開発することが目的である。 今年度は、昨年度に開発した光ファイバーマニピュレータに金微粒子を接着させることでプローブ機能を付与させる新規なマニピュレータを開発するとともに、エバネッセントフォトン力による2次元微粒子位置決め技術の開発を行うことを目的とした。その結果、以下のような結果が得られた。 1)集束機能を持たせた先端球型光ファイバーマニピュレータの球先端に、直径100nmオーダーの金微粒子を固定させる技術を開発し、エバネッセント場内において光波を散乱させることに成功した。今後、マニピュレータによって組み立てた構造を開発したプローブによって観測することで本プローブの有効性を確認できる。 2)エバネッセント界面における微小物体を非接触・非破壊的に駆動位置決めを行う新規な技術として、エバネッセントフォトン力による方法を開発し、2次元面内において粒径20ミクロンのラテックスの位置を制御できることを示した。さらに、これらの方法を組み合わせて複数微粒子の操作・捕捉も可能になると考えられる。
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