研究概要 |
テラバイト級大容量光メモリや原子のマニュピレーションなどを可能にする新しい光学手法として,近接場光学手法が注目されている.本研究では,光の波長程度の大きさの半導体微小光共振器の中に光を閉じ込めて,そこに大きさ百nm以下の金属の微小開口を形成し,高効率に近接場光を生成する新しい技術を確立し,その挙動を解明するとともに,その高密度光メモリへの応用の可能性を探ることを目的とした.具体的な研究成果は,以下の通りである. ア)金属微小開口面発光レーザを提案し,2次元有限要素法を用いた解析手法により100nm以下の微小開口に局在した近接場光の生成の可能性を理論的に示した.また,微小共振器の効果により近接場の生成効率が高められることを示した. イ)実際に850nm帯の面発光レーザに直径100-400nmの金属微小開口をFIBを用いて形成し,面発光レーザから初めて近接場光を生成することに成功した. ウ)近接場光プローブを用いて,金属微小開口における光強度分布を初めて測定し,金属微小開口の大きさに相当する200nm以下の微小領域に局在していることを実証した. エ)表面プラズモンの利用により,金属微小開口からの近接場光の生成効率が向上できる可能性を理論的に示した. オ)微小開口面発光レーザに先鋭化した金属プローブを近接させることにより,素子の電圧が変化することを実験的に見出し,本素子が近接場プローブとして利用できる見通しを得た.
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