研究概要 |
光化学気相堆積法の基礎として有機金属分子の光解離反応を利用した金属の堆積を行った。まずナノ寸法を有する亜鉛の細線やドットの堆積を行い、作製されたドットの基板面内の寸法はファイバープローブの先端寸法で決まり,高さ方向には堆積時間に比例することを確認し,また各ドットをその直径程度まで互いに近接した位置へ堆積することが可能であることを確認した。また亜鉛堆積速度の光源波長依存性から,近接場光特有の非共鳴光解離機構が存在することを見出した。次にアルミニウムのドットの堆積を行い,最小寸法25nmを得,この技術がナノ寸法光集積回路を作製するための高い分解能、及び位置と寸法の制御性を有することを実証した。さらに亜鉛とアルミニウムを同一基板上の近接した位置へ堆積させることにより,従来の加工技術では困難とされる異種材料の微細パターンの作製の可能性を示した。次に酸化亜鉛の堆積を行った。まず予備実験として伝搬光による堆積を行い,基板温度150℃以上で組成,結晶性の優れた酸化亜鉛薄膜が堆積できることを示した。特に基板温度150℃以上で作製された薄膜から波長380nmにピークを有する励起子発光を観測した。 次に,近接場光により酸化亜鉛のナノ寸法ドットを堆積し,その堆積速度の温度依存性から伝搬光による場合と比べ低温での堆積が可能であることを見出した。 一方、ナノ光集積回路の基本素子であるナノ光スイッチを提案し、これを湯川型ポテンシャルを用いた理論により解析し、スイッチング時間がサブナノ秒であることを確認した。またCuClの量子ドットを用いてこの提案のための基礎確認実験を行い、量子ドット寸法依存の発光スペクトルを取得した。
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