本年度は、Spring-8 BL20XUのX線アンジュレーターを用いたGabor型ホログラフィー及びフーリエ変換型ホログラフィーの開発実験を行った。BL20XUでは光源から200m程度離れた地点に光学系を設置できるため、硬X線領域としては非常に広い100μmを超える空間コヒーレンス領域を用いることができる。この空間コヒーレンスを有効に利用するために直径155μm、最外輪帯幅0.1μmのゾーンプレートを集光素子として8keVX線を用いて以下の実験を行った。 (a)ゾーンプレート集光点に直径20μmのピンホールを置いてその1次光のみ取り出し、集光点を2次点光源としたコーンビームによるGabor型ホログラフィーを行った。メッシュや珪藻土等のホログラム記録及び再構成実験に成功した。 (b)ゾーンプレート集光点に直径50μmのピンホールを置き、その直後に試料を設置してフーリエ変換型ホログラフィー実験を行った。メッシュ、ガラス繊維、花粉などのフーリエ変換ホログラムを可視光変換型CCDカメラで記録し、像をフーリエ変換することにより再構成像を得ることに成功した。また、これらの像の記録では、像の中心部のX線強度の非常に強い部分をCCD手前に置いたダイレクトビームストップでカットする必要があるが、このダイレクトビームストップの大きさと再構成像の関係を調べることができた。さらに、ゾーンプレート3次光を用いたフーリエ変換ホログラフィー実験にも成功した。詳細な解析はこれからであるが、ゾーンプレート3次光を用いることにより分解能は0.1μm以下となる計算である。 また、Photon Factory BL3C2においてはゾーンプレートを用いたゼルニケ型位相差顕微鏡の開発を行い、0.1μm程度の分解能を持った位相コントラスト結像に成功した。
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