研究概要 |
近年欧米諸国をはじめとして環境保全の問題としてPbを規制する動きが出てきているため、Sn-Pb共晶はんだの代わりにPbフリーを目指すための代替合金の使用が検討し始めている。現在検討されているPbフリーはんだ材料のほとんどはSnの含有量が90%以上のもので、これによっていままで検討してこなかったSn-Cu金属間化合物の信頼性の問題が確実に顕在化しつつある。本研究では金属間化合物の信頼性を考慮したエレクトロニクス実装はんだ接合部における混合破壊モードの破壊メカニズムを明らかにするとともに、その信頼性評価方法を確立することを目的としている。 平成13年度の研究成果は下記のようになる。 1.前年度の結果をもとに,金属間化合物を有するはんだの主要な破壊モードの一つである界面破壊モードについて検討した.界面破壊モードは,前年度検討した疲労破壊モードと異なり金属間化合物近傍に発生する応力が大きく影響することがわかった. 2.実験で得られた結果をもとに応力解析を行った.得られた応力値から,界面破壊モードの起こる条件を定性的に整理することができた. 3.界面破壊モードについて,き裂進展試験を実施しその進展特性について検討した.き裂の進展速度は,応力拡大係数により定量的に評価することができた. 4.以上の結果より,金属間化合物を有するエレクトロニクスはんだ接合部の主要な破壊モード機構についてほぽ明らかにすることができた.すなわち,金属間化合物を有するエレクトロニクスはんだ接合部の信頼性評価法を確立できることを示唆している.
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