研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,患者の医用画像データに基づいた有限要素モデルの構築方法の検討を行った.一方,脊柱力学模型実験の改良も重ねた. 1.臨床データに基づいた有限要素モデルの構築 CTやMRIなどの医用画像データはX線吸収率や水素原子などの核磁気共鳴の強さに対応したDICOM形式の3次元ボクセルデータである.本研究では,DICOM形式から3次元骨表面形状を抽出するプログラムを開発し,その表面形状データから,有限要素プリプロセッサを利用して,3次元脊柱有限要素モデルを構築する技術の開発を目指した.今年度は,患者のCT画像およびMRI画像から3次元ボクセルデータを構築し,骨部を抽出するプログラムを構築した.さらに,そのデータを教師データとする有限要素モデルをモーフィングによって構築するためのプログラム開発に着手し,基本的な機能を備えたモジュールの開発を行った. 2.脊柱力学模型実験 昨年度構築した脊柱力学模型では,成長は,各椎体を上下中央面で分断し,板あるいは楔を挿入してねじ締結することで実現した.本年度は,さらに挿入する板や楔の形状を変えた動特性の変化を計測し,実験的に成因を理解するためのシステムに仕上げていくことを目指した.今年度は,屍体実験の結果に基づいて構築した3次元脊柱有限要素モデルと同等に変形特性を有するように椎間板や椎間関節の材質を違えた場合の動特性の計測を行い,3次元脊柱有限要素モデルと同等に変形特性を有する脊柱力学模型を構築した.
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